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![]() ![]() ECO POWER USB の製作 7.2V → 5.2V 1000mA USB端子対応電源 ( 今回予算 約1100円 ) 〜 7.2Vバッテリーの有効放電活用術 〜 携帯電話の充電/携帯ゲーム機の充電&プレイ/USB扇風機など ** USB接続なのにPSPもACアダプターと同じ時間で充電できる!! ** * 記事を掲載 2007/9/22
* USB扇風機の測定を追加 2007/9/24
* 新型PSP-2000の測定を追加 2007/9/26
ラジコン用7.2Vバッテリーパックの放電器、タミヤの「オートディスチャージャー」「オートディスチャージャー2」の性能については『タミヤ製「AUTO-DISCHARGER/2」を開けてみた』ページで調べてみました。 どちらも約300〜400mAの電流で7.2Vバッテリーを放電しているようですが、放電器での放電ではバッテリーに蓄えられた電気を単に放電器内の抵抗(または抵抗になる回路)で熱にして捨ててしまっているだけです。 やれリサイクルだエコだと声高に叫ばれている昨今、コンディションを整える為とはいえせっかくバッテリーに充電した電気を無駄に熱として捨てるだけでは時代に逆行してしまいます。(本当か?) そこで今回は7.2Vバッテリー(ストレートパック)を放電する際に熱で捨てるのではなく他の機器で電気を使用する事でエネルギーをリサイクルする装置を製作します。 7.2Vバッテリーだけではなく8.4Vバッテリーでも使用できますので、電動ガンなどで使用しているバッテリーパックの放電にも使用できます。
バッテリーの放電エネルギーを他で使用する装置、と言っても様々なものが考えられます。
今回は以下の方針を立てて装置を設計します。
これらの条件を考えて、次のような装置に決定しました。
この装置は正式なUSB規格のライセンス商品ではありません。 正式なUSB装置(親側)はホストアダプターを搭載してUSB通信を行うなど様々な規格に沿ったものでなければなりませんが、本装置はUSB規格のコネクターに電源を供給するだけのもので、USB通信やコントロールに対応はしていません。 「USB端子から電源を取って使用する」タイプの機器(USB準拠で無いものが多い)に電源を供給する装置です。
回路図はこのようになっています。
![]() ● 出力電圧を変えている ![]() 少し違うのは三端子レギュレータICのGND端子とアースの間にショットキー・バリア・ダイオードを1つ入れている所です。 これは三端子レギュレータICの使用方法で「電圧を上げる」為の方法です。 GND端子とアースの間に入れたダイオードのVfのぶん出力電圧が上がります。 これを技術用語で「下駄を履かせる」と言います。(いや正確にはオフセットを上げるとか言うのですが…) 今回使用した11EQS04の場合、約0.25Vの引き上げになります。 ダイオード無しの場合出力電圧は無負荷時で4.97Vでした。今回は少し高い電圧が必要ですのでダイオードを入れて5.22Vにしています。 ダイオードのVfは流す電流により変化します。(「秋月充電器、MW1268の中身は・・・」ページでも説明しています) 11EQS04の場合定格の1Aで使用する場合は約0.55Vなのでそう表記されている場合が多いですが、今回の使用方法のように微弱な電流ではVfもかなり低くなり、今回の回路では約0.25Vで使用することになります。 ちなみに、テスターのダイオード測定モードで測定すると0.18Vとなります。かなりの小電流で使用する場合はこれくらいです。 出力電圧は5.22V(無負荷時)なのでUSB規格の4.75〜5.25Vに合致しますので、USB(端子から電源を取る事に)対応と書かれた装置を接続できます。 本機では1A以上の電流を取り出しても約5.05〜5.08V(実測)と5Vを割り込む事はありませんでした。(但しバッテリー電圧・残り容量が十分ある事) ※ 実はこれが後に非常に重要になるのです・・・
● 低ドロップタイプの三端子レギュレータを使用する ![]() 電源が7.2Vバッテリーですので、出力5.2Vとの差は2.0Vですから、ドロップ電圧3V系の普通の三端子レギュレータ(7805等)では電圧不足で安定した動作はできません。バッテリー電圧は比較的電気が残っている時には8V近くある場合がありますが、放電を続けていると7.2Vを切った電圧で長時間安定する物が多いので7.2〜6V程度で安定した動作をする回路が必要です。 必ずドロップ電圧0.5〜1V程度の「低ドロップタイプ」と呼ばれる三端子レギュレータを使用します。 今回使用したLM2940T-5.0(5V用)はdrop=0.5Vタイプなので適しています。バッテリーがヘバってきても最後のぎりぎりまで比較的安定して電圧を供給できそうです。 ※ 実測では、ストレートパックでは一個のバッテリーが先に放電した状態で、残り5個の電圧で合計6Vで放電が続く場合が多々あるようです。早く放電が終った電池に対して逆充電して転極の恐れがありますが、タミヤの放電器などでは6Vでは放電が続きますので「まぁラジコン用だし、それでいいか」という事で使用することにします。 更にLM2940T-5.0は1Aタイプと表記されていますが、データシートによれば1A以上の出力電流が取れます。(十分な放熱が必要です) 後述の「ある目的」の為に本機は1.5A程度までは安定動作して欲しいのでピッタリです。 ● その他 ![]() C2・C3の0.1μFのコンデンサ(発振防止用)は必ず三端子レギュレータICのすぐ近くに設置してください。 今回は電源がバッテリーの為電圧変動はほぼありません。C1の100μFの電解コンデンサは無くても、もっと容量が少なくても問題ありませんが、「おまじない」程度で100μとしています。 出力側の電解コンデンサは必要です。 C4の470μFの電解コンデンサはよほど変な物を負荷に繋がない限りこの容量で問題無いはずです。 動作表示用のLEDは今回は「青色」を使用しました。Vf=3.2V,If=20mAの品です。 電流制限抵抗R1は正しい計算では100Ωですが、高輝度LEDでまぶしすぎるので倍の200Ωにして少し暗くしています(見た目はあまり変わりませんでしたが)。このへんはお好みにあわせて変更してください。 ● 使用部品 ![]()
![]() ケースはタカチのモールドケースTB-51を使用し、写真のような組み立てになりました。 半分近くを三端子レギュレータに取り付けた放熱器が占めています。 500mA程度までしか使用しないのであれば、この半分位の大きさの放熱器でも大丈夫です。 ケース表面には放熱器の真上と後ろに放熱穴を開けていますが、1Aで使用するならこれが無いとチンチンに熱くなります。500mA迄なら無くても大丈夫でしょう。 ![]() LEDはフラットタイプを使用した為、ケースからの突起が無くすっきりしています。 また取り付け位置をUSBコネクタの真上になるようにした事で、LEDの裏側からケース内に漏れる光でUSBコネクタ部が内部から照らされて光るという、ちょっと自動車用品っぽい演出にもなっています。 USBコネクタの穴も通気口になっていますので少し余裕がある広さにしています。(基板が出来てから現物あわせで開けていますし)
![]() 100円ショップで購入した「USB携帯電話充電ケーブル」(105円)を使用して、携帯電話を充電してみました。 充電時の電流は200〜400mA程度(携帯電話の種類・バッテリー状況によって異なります)で、タミヤの7.2Vディスチャージャーと似た電流値で放電できます。 レース会場で携帯電話のバッテリー残量が少ない時には便利そうです。 ※ 携帯電話の充電に際してはあまり詳しい測定はしていません ![]() USB扇風機「そよ風」を回してみました。 回ります。 微妙に…涼しいです。 この扇風機には「スピード(風量)コントロール機能」があります。しかも普通の扇風機には無い「リニアコントロール」です。 更にこのサイズで首振り機構付きです! そろそろ季節外れ商品なので値下げ特価500円です!(元は900円) 「対象年齢6歳以上」です!、ああ、自分が6歳以上で良かった。 風量最小時で消費電流は約300mA、風量最大時で約400mAでした。 タミヤの7.2Vディスチャージャーと似た電流値で放電できます。 ちなみに、首振り機構を動作させた場合はモーターの負荷は増えますが、2〜3mA程度電流が増えるだけでほとんど変化はありません。 ![]() ダイヤルの下には小型のレオスタットのような直接抵抗値を変える物が仕込んであるだけかと思いましたが、ちゃんとトランジスタ2石とボリュームの可変電流回路が入っていました。 ほとんど風量は変わりませんが… ![]() ![]() 1本で DSLite / PSP / iPod / USB機器に使用できるという先端が4つのプラグケーブルに分かれた便利そうなヤツです。 ケーブル長も116センチもあり、PCの裏側のUSB端子に接続しても楽々手前まで引き回せる長さが便利という利点もあります。 それが災いして思ってもみなかった事になるのですが、それは後ほど… ![]() 但しこれは初期型で、最近は新型や容量の多いサードパーティ製バッテリーなど色々と種類があるようです。 今回のテストでは「DS Liteが発売されてから2週間目で入手した」という最も古いタイプの本体とバッテリーを使用します。(提供J氏) 多少バッテリーが弱ってきている可能性はありますがご了承ください。 ● 充電時間と最大電流 ![]() バッテリーが空(DS Liteが起動しない、または起動してすぐに電源が切れる)の状態からフル充電まで、電源を切った状態での充電時間は次の通りです。
※ 使用バッテリーは家庭内使用で使用済みのもので新品ではありません。
※ バッテリーの使用完了(空)状況などにより充電時間は多少変化します。 このバッテリーでは約15分の差がありましたが、実用上は純正ACアダプターと遜色の無い時間で充電できます。 ● 放電器の代わりに使う場合 ![]() 7.2Vバッテリーパックの放電電流として見れば、タミヤの7.2Vディスチャージャーともほとんど同じ感じで放電できます。 ● 電源OFF時の充電電流グラフ ![]() 空のバッテリーを電源OFFの状態で充電した際の電流の変化です。 ![]() 充電ランプ(オレンジ色LED)は充電完了時に消灯します。 最大でも400mA程度ですので、USBからの充電ではほぼ純正ACアダプターと変わらない時間で充電できそうです。 ● 電源ON時の充電電流グラフ ![]() バッテリー駆動で約1時間ゲームをプレイし、少しバッテリー容量を減らした状態でACアダプターを接続してみます。 空の状態からではないのは・・・空からだとものすごく時間がかかりそうなので(^^; 動作テストに使用したソフトは「どうぶつの森」で、無操作状態で延々とオートプレイ(放置)しています。 ![]() グラフが水平になる時点ではバッテリーへの充電は完了していて、本体の消費電流が測定されています。 ゲーム中は本体で約170〜180mA消費しながら、残りの最大約180mA程度をバッテリーの充電に回しているという感じでしょうか。 ゲームをしながら充電もできますが、電源OFFで充電するよりは倍以上の時間がかかります。 ゲーム中にACアダプターを接続していると充電ランプ(オレンジ色LED)は充電状況に関係無く点灯しっぱなしですので、バッテリーがいつ充電完了したかはLEDの状態からは分りません。 ● 電源電圧と充電電流の関係 ![]() バッテリーが空の状態で最大電流を必要とする時に、入力電圧(電源電圧)により充電電流がどの程度変化するかを計測します。 これは充電アダプターなどを製作する際に出力電圧を決めるのに必要です。 またこれでDS Liteの電源部の能力や動作安全圏がわかります。 ![]() このグラフより、約4.8V以上の電圧があれば100%の充電能力を発揮できるようです。 下限は約4.4Vまでで、ここで充電中LEDが消灯します。 4.8〜5.2Vの範囲で消費電流400mA程度ですので、USB規格の電源であれば変換ケーブル等を使用してDS Liteを純正ACアダプターと変わり無い時間(能力)で充電できそうです。 今回テストしたiArm充電ケーブルでもそのような結果となっています。 ECO POWER USB ほかいくつかの5V電源装置、USB電源アダプター、ノートパソコン等と接続しましたが、DS Liteの電源コネクタ部での電圧はほぼ4.7〜4.8V以上あり、充電に問題はありませんでした。 ![]() ![]() USB端子からPSPの外部電源端子に電力を供給するだけのケーブルで、通信機能はありません。 (PSPをお貸し頂いたR氏がこの実験にあわせて買ってくれました) ![]() テストで使用したものは多少使用した品なのでバッテリーが弱ってきている可能性はありますがご了承ください。 またPSP本体も2000番台の新型が発売されました。 本項では旧型のPSP-1000をテストしていますが、PSP-2000をお借りすることができましたので、本ページの下にPSP-2000の測定結果を掲載しました。 あわせてお読みください。(07/9/26に追加) ● 充電時間と最大電流 ![]() バッテリーが空(PSPが起動しない、または起動してすぐに電源が切れる)の状態からフル充電まで、電源を切った状態での充電時間は次の通りです。
※ 使用バッテリーは家庭内使用で使用済みのもので新品ではありません。
※ バッテリーの使用完了(空)状況などにより充電時間は多少変化します。 このバッテリーでは約5分の差とほとんど純正ACアダプターと違わない時間で充電できます。 本体情報表示のバッテリー充電率の表示は充電中LEDが消灯する前に100%表示となります。 これはリチウムイオン充電池ではよく使われている手法で、ある一定の量まで充電されたら(容量の80〜90%)「その時点で使用上は100%とする」という手順が取られる場合が多いのです。 リチウムイオンバッテリーの場合はDS Liteの項で説明しましたように、充電末期は非常に少ない充電電流でチョロチョロと充電しますので、長時間かかって充電される量も少ない為、それまでに比較的充電時間が速い期間にある一定量入ったものを「100%」と表さないと、本当に容量100%を待っているとそれまでの充電量と比べると非常に長い時間をかけてやっと完了となってしまいます。 PSPの場合は充電中LEDは本当に充電電流を流している期間の動作表示、画面に出る%は利用上の容量表示といった内容です。 充電時に最大電流が1.2A程度も必要だという事で、純正ACアダプターが2A容量なのがうなづけます。 ● 放電器の代わりに使う場合 ![]() 7.2Vバッテリーパックの放電電流として見れば、最大で1Aを超える・ばっちぐ〜(死語)な放電電流なので、バッテリーパックを高速で放電させたい時にお勧めです。 但し少し下で書きますが、使用するケーブル(USB充電ケーブル)には少し注意が必要です。 ● 電源OFF時の充電電流グラフ ![]() 空のバッテリーを電源OFFの状態で充電した際の電流の変化です。 ![]() 最大電流は約1200mAもあり、そこから徐々に減りはするものの長時間1000mA以上を供給する必要があります。 充電ランプ(オレンジ色LED)は充電完了時に消灯します。 このグラフはじゅうぶんに電流供給能力がある電源装置(純正ACアダプターやECO POWER USBなど)を接続した場合の充電電流で、USBから充電する場合USB規格では最大500mAと規定されていますから全然足りません、どうなるのでしょうか? それは後ほど検証します。 あ、グラフからもわかるように、PSP-1000は電源スイッチを切っていても外部電源端子からは約24mAの電流が常に流れます。 待機電力・・・なのでしょうか。 ● 電源ON時の充電電流グラフ ![]() バッテリー駆動で約1時間ゲームをプレイし、少しバッテリー容量を減らした状態でACアダプターを接続してみます。 空の状態からではないのは・・・空からだとものすごく時間がかかりそうなので(^^; 動作テストに使用したソフトはリッジレーサーで、オープニングデモを延々と流しています。 ![]() このグラフでは約780mAから徐々に下がり、最終的に約320mA(最大450mAに時々変わる)程度で落ち着きます。 今回のテストでは充電中LEDは約1時間35分で消灯しました。 更に完全にバッテリーが空に近い状態でも開始時の電流はほぼ同じである事を確認しました。 電源OFFの時の充電時に必要とする最大1.2Aの消費電流から本体動作電流を引くのではなく、バッテリー充電電流をかなり減らして動作させているようですね。 またPSPはバッテリーを外して外部電源だけでの動作が可能ですので、バッテリーを外した状態での消費電流は約250〜320ma(最大450mAに時々変わる、ゲームや処理により異なります)でしたので、これはゲーム中に充電した場合の充電完了後の消費電流と同じですので、ゲーム中も充電中LEDが消灯したら本当にバッテリーへの充電は終了しているようです。 ゲームをしながら充電もできますが、電源OFFで充電するよりは倍以上の時間がかかります。 ● 電源電圧と充電電流の関係 ![]() バッテリーが空の状態で最大電流を必要とする時に、入力電圧(電源電圧)により充電電流がどの程度変化するかを計測します。 これは充電アダプターなどを製作する際に出力電圧を決めるのに必要です。 またこれでPSP電源部の能力や動作安全圏がわかります。 ![]() このグラフより、約4.95V以上の電圧があればほぼ100%の充電能力を発揮できるようです。 約4.4Vで充電中LEDが消灯します。 とは言え、4.9Vを下回ると急激に充電電流が減少してしまいます。 電圧が低いと充電中LEDは点灯していますが実質的には充電できていない状態になります。 ※ グラフは5.5Vまでですが、最大6.3V程度で保護回路が働きます。
しかしこれは限界値であり「6Vをかけて良い」という意味ではありません。 ちなみに、PSP純正のACアダプターは「定格 5V / 2A」と書かれていますが実際は開放電圧5.4V-充電中(1.2A消費中)電圧約5.2V、非充電ゲーム中約5.3Vと、上記の電圧-電流の必要条件を満たすものでした。(5Vって嘘やん…) そしてこのグラフではPSPの端子部で約5V以上の電圧があればフルパワーで充電できるのですが、「端子部で5V以上」というのは接続するケーブルの質(抵抗値など)によって大きく変わります。 少しでも4.9Vを下回るとガクッと電流が減少してしまいますから、「供給能力の弱い電源」「抵抗値の大きなケーブル」ではPSPの充電は純正ACアダプターと同じようにはゆかないという事です。 ● 電源装置・ケーブルと充電電流の関係 ![]() 大きい・重い・取り回しが不便と不評の純正ACアダプターで旅行などには持ってゆきたくないとの声も多く、そんな時にUSBから充電できるケーブルならACアダプターが無くてもノートパソコンを持っているなら充電できて便利という事でかなりの方が使用しているものと思います。 この大電流を必要とするPSPを「USB充電ケーブル」で充電しようとするとどのようになるのでしょう? 数種類のパターンで試してみました。 全てバッテリーが空で最大の電流を必要とする状態でのテストです。 まずは参考データとして純正ACアダプターでの充電電流です。(上に掲載したもの)
各種電源と、2種類のケーブル使用時の充電電流
※ パソコンUSB端子は一例です、機種により異なります。
今回測定したPSP用のUSB充電ケーブル二種の間には、なんと最大約2倍もの充電電流の差がありました。 パソコンUSB端子から充電した場合、「CYBER・USB充電ケーブル」の場合で純正アダプターの約1/3の電流程度。 「iArm USB充電ケーブル」では約1/4.5とたいへん少なく、充電時間も無茶苦茶かかります。このケーブルは全長が116cmもありPC裏のUSB端子に挿してもゲーム機側のプラグが手前まで引き回せるという利点があるようですが(そう宣伝文句に書いて有る)、それが災いして抵抗値が大きくなり、特にPSPでの使用ではたいへん悪い充電ケーブルとなってしまっています。 デスクトップパソコンのUSB端子の「表」「裏」の違いは、「裏」はロジックボードに直接ハンダづけされたUSB端子、「表」は内部コネクタから延長ケーブルを経由してパネル面のジャック子基板に配線されていますので、その延長配線経路などの抵抗により電圧や電流に減少が見られます。 PCのUSBポートはPC内部のロジックボードの電源基準に従ってほぼ5.0Vに設定されていますので、そこから電源を取ると接続ケーブルの線間抵抗・コネクタ端子の接触抵抗などでの電圧低下でPSP側では確実に5.0Vを下回るので、PSPに対しての給電能力としてはあまり良く無いものとなります。 しかしながらその状態で最大約500mA以下というUSB規格内に収まる電流となりますので、特にPC側を壊したり電源が不安定になって異常動作するという事は無さそうです。(それを狙っての5.0V未満での電流激減か?) それにしても、今回テストした二種類のケーブルでこれだけの差が現われたのは予想外でした。 「USB充電ケーブルでは、純正ACアダプターより時間がかかる」という概念は皆さんも持たれていたと思います。 ネット上のレビューなどでは「USBケーブルで充電すると7〜8時間もかかった」等と言う記述も見受けられますが、さすがに7〜8時間もかかるのは「USBだから」という理由だけでは無く、iArm「USB充電ケーブル」のように抵抗値の高いケーブルを使ってしまっているようです。CYBER・USB充電ケーブルでは約5時間前後で充電は完了します。(あくまでバッテリーが空の状態から) パソコンUSB端子からの充電はあくまで使用途中での追加充電で、それほど時間を気にしないという使い方が多いとは思いますが、PSPでは短時間でもケーブルの差によって充電時間に違いが出るという事は覚えておいて損は無さそうです。 出張や旅行に持ってゆく(重い純正ACアダプターは嫌)なら、今回のテストで使用したような「1000mA対応の小型USB電源アダプター」とUSB充電ケーブル(なるべく短く抵抗の低いもの)の使用が良いでしょう。 今回は試していませんが、小型で比較的短い物でも「コード巻き取り式」のUSB充電ケーブルがあります。 コード巻き取り部の中心に回転電極が有ると思うのですが、その部分の端子接触抵抗ぶん性能が悪くなっている可能性がありますので、もし機会があれば試してみたいと思います。 ![]() 新型PSP(PSP-2000)をお借りできましたので追加テストしました。 厚さが少し薄くなりました。重さは劇的に軽くなり旧型とは全くの別物です! 大きな変更点は ・AV外部出力が可能に ・ワンセグ対応(チューナー別売) ・バッテリーも軽量化(小容量) ・USB端子から充電可能 ・UMDミサイル発射機能が無くなった 等です。 ![]() 旧型は3.6V/1800mAhでしたので容量が減少しています。 本体消費電流を抑える事で旧型とほぼ同じランタイムを実現しているという事です。(未テスト) また今回の大きな変更点の「USB端子から充電可能」というのは他のUSB機器のように、PCとUSBケーブル1本で接続するだけで充電できるようです。 別途、外部電源端子用USB充電ケーブルを接続したり、あるメーカーから発売されているようなUSBケーブルの先が通信用USB-Mini B端子とACアダプター端子の二股に分かれているようなケーブルはPSP-2000では必要無くなるのでしょうか。 ※ これ以降に掲載している測定値・グラフはPSP-1000と同様に外部電源端子にACアダプターまたは充電ケーブル+電源機器を接続して測定したものです。新しいUSB充電機能について特に記載の無いものはPSP-2000に追加されたUSB充電機能を使用したテストではありません。 ● 充電時間と最大電流 ![]() バッテリーが空(PSPが起動しない、または起動してすぐに電源が切れる)の状態からフル充電まで、電源を切った状態での充電時間は次の通りです。
※ 使用バッテリーは数回使用のほぼ新品です。
※ バッテリーの使用完了(空)状況などにより充電時間は多少変化します。 旧型PSP-1000が約1.2Aを必要としたのに対して、PSP-2000では約700mA程度と大幅に充電電流は少なくなっています。 これは標準添付のバッテリー容量が1200mAhと容量が少なくなっているのにあわせ、PSP内部の定電流充電回路の設定がLi-ion充電池の推奨の0.5C充電である事に起因するものと考えられます。 バッテリー容量は小さくなりましたが、充電電流もあわせて少なくしていますので、満充電にかかる時間は約2時間と旧機種とあまり変わりません。 ● 放電器の代わりに使う場合 ![]() 7.2Vバッテリーパックの放電電流として見れば最大で約750mA放電ですので、タミヤ7.2Vディスチャージャーの倍程度の電流・時間で放電できます。 ● 電源OFF時の充電電流グラフ ![]() 空のバッテリーを電源OFFの状態で充電した際の電流の変化です。 ![]() 最大電流が約760mAに減っている以外は、旧型PSP-1000とはあまり変わりはありません。 残量表示がバッテリーの満充電より前に100%になる点や、本当にバッテリーへの充電が終了した時点で充電ランプ(オレンジ色LED)が消灯する仕様も同じです。 最大電流が約760mAと少なくなっている点では、旧型よりはケーブル等での抵抗の影響を受けにくく(ドロップ電圧が低い)なっていますので、USB充電ケーブルを使用した時のケーブルの品質により差は小さくなるものと思われます。(差が無くなるわけではありません) PSP-1000では待機電力(?)として電源OFFでも外部電源端子から約24mAが流れていましたが、PSP-2000では約1〜2mAと格段に少なくなっています。 それでも完全に0mAで無いのは・・・ ● 電源ON時の充電電流グラフ ![]() バッテリー駆動で約1時間ゲームをプレイし、少しバッテリー容量を減らした状態でACアダプターを接続してみます。 空の状態からではないのは・・・空からだとものすごく時間がかかりそうなので(^^; 動作テストに使用したソフトはリッジレーサーで、オープニングデモを延々と流しています。 ![]() このグラフでは約700mAから徐々に下がり、最終的に平均約250mA程度で落ち着きます。 今回のテストでは充電中LEDは約55分で消灯しました。 更に完全にバッテリーが空に近い状態でも開始時の電流はほぼ同じである事を確認しました。 旧型PSP-1000とは違い、電源OFFでの充電時も電源ONでの充電時もどちらも最大約700〜750mAを外部電源端子から消費するような電源・充電回路となっているようです。 電源OFF時はその全部をバッテリーの充電にまわし、電源ON時は本体駆動に使用する平均約250mA(ゲームの状態などにより変化します)を引いた残りをバッテリーの充電に回しているようです。 ゲームをしながら充電もできますが、電源OFFで充電するよりも長い時間がかかります。 PSP-1000では本体動作電流は平均約320mA程度でしたが、PSP-2000では平均約250mAと少なくなっている事がわかります。(動作状態・ゲームの処理の重さ、ワイヤレスLANの使用状況等により異なります) ● 電源電圧と充電電流の関係 ![]() バッテリーが空の状態で充電初期に測定したグラフです。 PSP-2000では電源OFF時の充電グラフでわかるように、初期より約1時間目のほうがピークの電流(+50mA程度)が流れるようですので、ピーク時は本グラフより多い電流が流れる事を念頭にご覧下さい。 ![]() このグラフより、約4.85V以上の電圧があればほぼ100%の充電能力を発揮できるようです。 下限は約4.4Vまでで、ここで充電中LEDが消灯します。 とは言え、4.8V程度を下回ると急激に充電電流が減少してしまいます。 電圧が低いとほとんど充電電流は流れず、充電中LEDは点灯していますが実質的には充電できていない状態になります。 ※ グラフは5.5Vまでですが、最大6.3V程度で保護回路が働きます。
しかしこれは限界値であり「6Vをかけて良い」という意味ではありません。 外部電源装置を使用(設計)する場合、旧型PSP-1000と同様に端子部で約5V以上無いとまともに急速充電ができない仕様には変わりが無いようです。 ● 電源装置・ケーブルと充電電流の関係 ![]() PSP-1000と同様に電源装置とUSB接続ケーブル数種で実験をします。 まずは参考データとして純正ACアダプターでの充電電流です。(上に掲載したもの)
各種電源と、2種類のケーブル使用時の充電電流。 全てバッテリーが空の状態でのテストです。 ピーク時には最大で+7〜8%程度多く流れます。
※ パソコンUSB端子は一例です、機種により異なります。
さすがにPSP-1000のように充電電流を最大約1.2Aも要求しないぶん、PSP-2000ではケーブルの「質」による充電電流の差は小さくなっています。 しかしながら差が無くなったわけではなく、やはり「長い」「抵抗が大きい」ケーブルでは充電電流が少なくなりますので、「短い」「抵抗が小さい」ケーブルよりは充電時間がかかります。 デスクトップパソコンのUSB端子の「表」「裏」の違い、電圧が5.0Vに極めて近い事はPSP-1000の項で書いた通りです。 ● USB端子からの充電機能 ![]() 今回の新型で大きな変更点「USB端子からの充電機能」について調べました。 外部電源端子の必要電流が最大約760mA(今回の実測)と少なくなっていますので、USB端子にもこの充電回路への配線を接続(逆流防止や保護回路はもちろん必要)してやればUSBからも充電できるようにも思えます。 現に外部電源端子に各社のUSB接続ケーブルを繋いでもPCからの充電ではほぼ定格の500mA以下(一部で少しオーバー)でしたので、大電流が流れてPCを壊したり動作不安定にする事はほぼ無いと予想されます。 そこでPSP-2000のUSB端子(Mini-B)にUSBケーブルを接続してPCと繋いでみました。システムメニューの「USB充電」はもちろん「入」です。 ・・・・・ウンともスンとも言いません。 PSP-2000のUSB端子には間違いなく5Vがかかっています。 でもUSBケーブルには電流が流れませんし、充電中LEDも点灯しません。 ・・・・・壊れてる? 色々と確認してみたら、「なんと本体をUSB接続モード(PCと通信したりする)にしないと、USB充電機能は働かない!」となっています。 つまり、「ゲーム中や電源OFF中にPCとUSBケーブルで接続してもUSB充電はできない!」のです。 PSP-2000のUSB充電機能は、USBでPCと通信中に誤ってバッテリー切れで電源が落ちてデータが失われる事を防ぐ為のUSB電源供給機能だという事ですね。 そのついでにバッテリー充電もできますというレベルで、バッテリーが減ったとか切れた時にUSB端子から急いで充電しようという使い方はできません。 なにより、バッテリーが切れた状態ではPSPが立ち上がらないので、どう頑張ってもシステムメニューで「USB接続モード」を選ぶ操作はできないのですから!(笑) ・・・・_| ̄|○ さすが世界のソニーです。 「USB機器は、ケーブル接続後にホストコントローラーと通信し、必要な電源レベル(3種類あります)を申告してホスト側より許可を得た後に電源使用を開始するべし!」というUSB仕様をガッチリと守っているようです。 俺様(PSP)はUSB扇風機なんかとは格が違うんだぜ!とPSPの中から声が聞こえてきそうです。 USB端子から電源をもらうのはUSB機器としてホスト機器と通信している時だけ。もちろんその為(とは言いませんが)に別途外部電源端子が用意されているのです。 この仕様ではECO POWER USB(正式なUSBホストでは無い)からはPSP-2000のUSB端子には電源供給できませんので、本テストでは電流測定などは無しとします。
さて、今回は「7.2Vバッテリーパックの有意義な放電をする」という趣旨でUSB端子対応の汎用電源装置を製作しましたが、奇しくもPSPでの放電テストをしているうちに三端子レギュレータそのままの「5.0VではPSPの充電には向かない」という事態が発覚し、下駄を履かせた5.2Vにするという事になりました。
単純にUSB規格の電源として考えれば、PC等の内部回路と同じく極力5.0Vから誤差が無いほうが良いのですが、様々な装置に電源を供給する電源装置では規格内で最大程度の電圧まで上げておいても大丈夫なので、こうしています。 元々給電する相手は厳密なUSB機器ではなく、「USB端子から電源を貰う機器」という設定で考えていますので、問題は無くて良いのですが。 冒頭でも書きましたが、今回の回路はオートカット回路はありません。 「USB扇風機」等の低電圧でシャットダウンしない機器で使用すると、放置したままではバッテリーの終止電圧より下まで放電してしまいますので「5.5Vバッテリーアラーム」と組み合わせて使用する事をお勧めします。 基本的にはラジコン製品に多い「LEDが消えたらバッテリーを外してください」という放電器と同じです。 レース会場や練習走行コースでの使用というよりは、そういう所で遊んで家に帰ってから残ったバッテリーの電力を無駄に放電器で捨ててしまうのではなく、携帯電話やゲーム機に充電して使ってしまおうという感じの装置です。 いやもちろんレース会場でUSB扇風機やUSBハンドウォーマーなど、厳しい自然環境に立ち向かう為に走行後のバッテリーパックを有効活用するのも良いものですよ。
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