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![]() 新・金パナ(赤金パナ) 性能評価試験
前回の100円ショップアルカリ乾電池性能評価試験では、パナソニックのアルカリ乾電池・通称「金パナ」の神話が崩れ去りました。
しかし心の中に一つの疑問が残っていました。 金パナは最近リニューアルして『赤金パナ』に生まれ変わったのです。 もしかしたら『赤金パナ』は凄く高性能で、従来の「金パナ」は既にパナソニックの中では時代の遺物だったのではないのか? 保存年数5年化などの改良は加えられているものの、オキシライド乾電池の開発などで実は「金パナ」は古い技術のまま年数を数えてしまっている旧式な電池ではないのだろうか? パッケージに「当社比約2割性能アップ」とまで書いているという事は、旧金パナとの比較では1.2倍の高性能を発揮してくれると期待…してもいいのだろうか? 昔は最強!と言われ、金パナ伝説まで打ち立てた電池のあの実験結果の低性能ぶりを見た後では本当に何か呪いでもかけられているのではないかと疑ってしまうほどです。 そこで今回、パナソニックの新型アルカリ乾電池。そのデザインも従来の金と黒から赤色のグラデーションが鮮やかになった『赤金パナ』を購入して放電実験を行ってみることにしました。 果たして『赤金パナ』は前回の金パナの屈辱を拭い去る事ができるのでしょうか!? ・・・・・・しかしその前に! 実験をする前に、実験そのものよりもっと「気になる」点を発見!! ![]() 実際にグラフの長さを計ってみたら、新電池で性能アップした部分は57%もあるのです! ちょっと誇張しすぎじゃないですか? 松下社内じゃ20%の事を3倍の長さのグラフに描くのでしょうか。 もし、0%点が左のほうの見えていない場所に有るグラフだとか(だったら開始点が何%か記載されているべき)、好意的解釈をしてもちょっと苦しい過剰宣伝ですね。 実験を開始する前に、既に暗雲が立ち込めてきた予感・・・
前回の100円ショップアルカリ乾電池性能評価試験と同じく、2本直列で2Ω固定負荷で放電します。
放電終止電圧は1.5V(1本あたり0.75V)に設定します。 ログ取りはやはり同じくデジタルテスターの液晶表示をCMOSカメラで一定間隔で撮影し、データ化します。 (近日中に4CHデータロガーを購入して、4本同時に測定できるように拡張する予定です) *** 2006/6 データロガー購入、新実験スタートしました *** 詳しくは↓↓↓こちら
さて実験に使用する電池ですが、ホームセンターで購入した『赤金パナ』です。
比較対象として、前回の実験で使用した「旧金パナ」「ショップQQ電池」「富士通G」の放電結果を比べてみます。
前回同様、放電開始から15分の時点での電圧を比較します。
おお! 遂にパナソニック製電池が一位に輝く時が来ました!!
『赤金パナ』が堂々トップの電圧です。 同社の旧金パナとは0.1Vの差が開いています。 しかしグラフからわかるように、この電圧優位性も20分を過ぎたあたりから他の電池に次々と抜かれています。 比較基準を「放電から15分」としたために赤金パナがトップに立てましたが、赤金パナはスタートダッシュには強く、持続力という点では他の電池より弱いということが伺えます。 これは定抵抗負荷での放電のため、高い電圧を保った電池ではそれだけ流れる電流も多くなり、より早くエネルギーを消耗してしまっているからではないでしょうか。
電圧が2Vまで下がる時間(電子機器のバッテリー切れ警告まで)に着目します。
持続時間では富士通勢に軍配が上がりました。
赤金パナと富士通Gではほぼ僅差ですので、単に時間だけではなく、開始からの電圧が高かったぶんの性能も合わせると赤金パナのほうが上のようです。
1.5Vまでの時間に着目します。
富士通Gの粘り勝ちといったところでしょうか。
30分過ぎからはパナソニックの電池はどちらもほぼ同じ形の放電カーブを描いています。
3つの調査の各電池の得点を合計し、総合順位を決定します。
この比較でもQQショップのアルカリ単三電池が1位です。
パナソニックの新型電池『赤金パナ』をもってしても、4本99円(104円)のこの電池には遠く及びませんでした。 製造年月日を見ても、決して赤金パナが古いものではありません。 出だしの高電圧維持能力は、今回の実験が室温25度の環境で行ったために高い電圧が保持できたのか、元々の赤金パナのパフォーマンスなのかは判断に苦しむ所ですが、同社のオキシライド乾電池の性能に似たものがありますので、赤金パナの出だしの良さは性格によるものだと考えるべきでしょう。 ミニ四駆の場合、タミヤの公式レギュレーションではオキシライド電池は使用禁止ですのでオキシライドの初期電圧の高さの恩恵には与れませんが、赤金パナでモーターを回した場合はどうなのか? 初期電圧の高さで定評のエネループと比べるとどうなのか、そしてインテレクト等の高電圧タイプのラジコン専用ニッケル水素電池などとの比較は? このあたりの調査も追って行いたいと思います。
ニカド電池やニッケル水素電池には「容量」が明記されています。
「2000mAh」や「2700mAh」と書かれているのがそれです。 2000mAhなら、 [追加] 400mAの電流を5時間流せる容量だということです。 [追加ここまで] 2000mAの電流を約1時間流せます。 200mAしか流さないなら10時間電流を流し続けられます。
ではなぜアルカリ乾電池にはこのような容量表示がされていないのでしょうか? アルカリ電池でも容量表示があればどのくらい使えるのかが分かって便利だとは思いませんか? しかし実はアルカリ・マンガン電池には容量を書けない理由があるのです。 それは、使う電流によって容量が変わってしまうのです。 ● 電池の種類と電流による容量の変化 このグラフは松下電器の資料(ニッケル水素電池共通情報)より引用したものです。 電池のメーカー、種類などによって細かな数値は変わってきますが、おおむねアルカリ電池/ニッケル水素充電池の消費電流による容量の変化はこのグラフのような関係となります。 ニッケル水素電池は流す電流にほとんど関係なく、電池に蓄えた電気を一定の容量で放出できます。 それに対してマンガン・アルカリ電池は電流が少ないほど大容量(ながもち)で、大電流で使用すると取り出せる電気の量が少なくなります。 グラフにはありませんが、マンガン電池の場合は大電流用途にはほとんど使用できません。 逆に、微小な電流で使用するのであれば、マンガン電池はニッケル水素充電池の数十倍以上の時間、電流を流し続けることができますので、クォーツ時計などのわずかしか電流を流さないけれどもずっと使い続ける機器には非力に見えるマンガン電池のほうが適していることがわかるでしょう。 このグラフでは、アルカリ電池とニッケル水素電池の適性の境目は、約100mA程度の消費電流のポイントになることがわかります。 100mAというと小型ラジオやLED4〜6個程度の懐中電灯くらいでしょう。これより大電流を消費する機器ではアルカリ電池よりニッケル水素電池(2000mAh以上)のほうが長持ちするようですね。
※ この点に関しては、「アルカリ電池の小電流での放電実験」で
詳しく追跡してゆく予定です。現在鋭意実験中です。 それでは、今回実験したアルカリ乾電池はニッケル水素充電池のように容量を表すとしたらどれくらいなのでしょうか? 放電時の電圧と負荷抵抗が分かればオームの法則で計算すれば流れている電流の値は求められます。 その電流値を時間で積算してやれば、電池の容量値を求めることができます。 ニッケル水素電池と同じく(2本で)2.0Vを終止電圧として、放電開始から2.0Vを切るまでの電流値を積算したのが次の表です。
どうでしょうか?
1A程度の電流での放電では、各電池ともに1000mAh強の容量だという計算結果になりました。 かなり大雑把な言い方になりますが、デジカメなど大電流機器ではアルカリ電池はエネループ(min1900mAh)やパナループ(min2000mah)の半分くらいの能力だと考えられます。 大電流が流れるのは液晶画面をONにしていたり、撮影して画像処理をする時だけで、撮影の合間に液晶画面を切っていたりする時間が長いと消費電流は少なくなりますからアルカリ電池でも持ち時間は多少は長くなります。逆に連続して撮影を続ける場合はアルカリ電池は不利になりますね。 記事掲載: 2006年6月11日
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